【国菌の恵み】火も温度計も不要!自然との調和を目指す「共麹 / 友麹法」の知恵

「発酵食品に興味はあるけれど、麹づくりは難しそう…」
「でも、市販の麹で満足するのではなく、生きた菌の力を最大限に引き出したい

自然との共存共栄を目指す方にこそ、ぜひお試しいただきたい、画期的な麹の増やし方があります。
長年、天然麹の採取や発酵の研究を重ねてきた経験から、私はこの手軽で理に適った方法に辿り着きました。

火も温度計も使わない、「ご家庭で手軽にできる共麹/友麹(ともこうじ)法」をご紹介します。

初心者でも失敗しない!
画期的な「共麹法」とは?

伝統的な麹づくりは、蒸した米に麹菌をまぶし、数日間にわたり厳密な温度と湿度を管理しながら育てる、まさに職人技の世界です。

ご家庭でそれを実際にやろうとすると——
「温度管理が難しそう」「時間がかかりそう」「失敗しそう…」そう感じる方も多いと思います!

「麹から生きた酵素を最大限に得たい」
「できるだけ自分の手で発酵生活を完結させたい」
という真剣な想いを持つ方にとって、従来の厳密な麹づくりの手法は、ご家庭で再現するには大きなハードルでした。

そうしたハードルを感じていて、一歩が踏み出せなかった方におすすめしたいのが、今回ご紹介する共麹(ともこうじ)法です。

共麹は「菌のリレー」
先人の知恵と命のバトンを現代に繋ぐ

共麹とは、既にある完成した麹を「種麹」として使用し、新しい麹を増やす画期的な発酵法です。

つまり、麹が麹を育てる!かつて蔵元で行われていた「友種(ともだね)法」という、先人の知恵と自然の摂理にヒントを得た、まさに”菌のリレー”のような、命のバトンを繋ぐ発酵法なんです。

共麹がもたらす最大の恵み
【3つのメリット】

なぜ、この共麹法で麹を自作することが、私たちの暮らしに豊かさをもたらすのでしょうか。
それは、単なる手軽さだけでなく、以下の3つの深い価値があるからです。

メリット1:
生きた酵素をたっぷり!
安心安全な自家製麹

市販の麹の多くは、流通のために乾燥処理や、それを原料とした製品は加熱処理(火入れ)がされています。
このため、せっかくの酵素が休眠状態になったり、失活したりしがちです。
しかし、共麹法なら、酵素が最も活性化した
「生麹(なまこうじ)」を常に得られ、その麹を使ってさまざまなもの(甘酒や米麹、味噌や醤油etc)を作ることができます。。

麹の酵素は、消化吸収を助け、腸内環境を整え、美肌や疲労回復に役立つビタミンB群を生成するなど、私たちの心と体の健康を内側から支えてくれます。
この自然の恵みを最大限に享受できるのが、自家製共麹の最大の強みです。

メリット2:
残りご飯を活かし、自然の循環に参加できる

共麹法は、廃棄しがちな「残りご飯」を有効活用し、種麹から新たな麹を増やします。
これは非常に経済的であると同時に、私たちの身近な生活の中で食品ロスを減らし、小さなことから自然の循環に参加する「持続可能なエシカル暮らし」にも繋がります。

メリット3:
菌の生命力から学ぶ
「おおらかな生きる力」

発酵プロセスにおいて、菌の生育には私たちの先入観や思い込みは一切通用しません
無心で観察し、菌の声を感じ取る感覚を研ぎ澄ます必要があります。

この菌との対話を通じて、私たちは「完璧を目指さない、おおらかな姿勢」を学びます。
そして、この「いざという時」の対処の積み重ねが、日常生活で起こる予期せぬ出来事への対応力となり、揺るぎない自分を生きる力へと変わっていくのです。

共麹の仕込み方
火も温度計も不要で簡単!

【材料】

  • 残りご飯(冷蔵庫の冷やご飯でも可):200g〜300g
  • 麹(お手持ちのもの):50g〜80g
  • 手ぬぐい:一枚
  • 容器(タッパー、または木箱):500ml程度

【作り方】

  1. 残りご飯と麹を丁寧に混ぜ合わせます。
  2. 容器に手ぬぐいを敷き、(1)を入れ、軽く蓋をして常温(目安:25℃前後、湿度60%前後)で静置します。
  3. 約25℃の環境であれば、およそ2日ほどで麹の心地よい香りが立ち、そのまま甘酒にも使える状態に完成します。

残りご飯の活用が成功の鍵

実験を通じて、残りご飯の方が蒸米よりも水分が多く、麹菌が増殖しやすいという特性があることを発見しました。
「ご飯の残りもの」を利用し、温度管理なしで麹ができることは、まさに発酵革命です。

完成した共麹を甘酒に

完成した共麹で甘酒を仕込んでみました。
その甘酒が甘すぎず乳酸菌の酸味もありめちゃくちゃ美味しいんです。

【甘酒の仕込み方】
完成した共麹の半量を用い、「残りご飯3:共麹7」の割合で水を足します。
気温が低い時期はヨーグルトメーカーの「甘酒モード」をご利用ください(30℃以上の常温でも発酵します)。

数時間後──とろっと甘く、香ばしい自家製甘酒の完成です。

できた共麹を冷蔵庫で少し水分飛ばしてその一部を使って、また残りご飯で仕込めば、新しい共麹ができます
(※ご飯の硬さによって2回目までが限度の時あります)。

まさに “発酵錬菌術”
菌が生き、繁殖し、また次のいのちをつなぐ発酵錬菌術で、自然の循環そのものです。

日本の「国菌」と共存する発酵の哲学

麹菌は、日本の伝統的な食文化を古来より支えてきた、非常に重要な存在です。
その安全性と有用性から、日本独自の『国菌』としても認定されています。

※「国菌」とは、日本を代表する微生物として、2006年に日本醸造学会が認定した麹菌(こうじきん)のことです。日本の食文化に不可欠な発酵食品である味噌、醤油、日本酒、みりん、甘酒などの製造に欠かせない菌であり、日本特有の気候風土に由来しています。(参考:マルカワ味噌HP|麹菌は日本の国を代表する『国菌』に認定されている

現在、多くの市販の種麹は、安定した品質を保証するため、選抜された単一の菌を用いています。
これは、大量生産や確実な製品づくりにおいて、極めて合理的かつ必要な技術です。

しかし、長年菌と向き合ってきた経験から、菌は本来、多様な菌の集合体として活動することで、凄まじい分解能力と、より豊かな風味の恵みを生み出す存在だと感じています。
この菌が持つ本来の多様な生命力を、ご家庭の環境で活かすのが「共麹法」です。

菌を信頼する。
自然との調和を目指して

私たちが共麹法で菌と関わることは、菌を「管理」しようとするのではなく、「信頼」し、「委ねる」という姿勢そのものです。
菌の声を聴き、彼らの生命力に寄り添うことが、最も簡単で確実な発酵の道なのです。

この菌との対話を通じて、発酵の世界は、身近な暮らしを豊かにし、予期せぬことが起きるたび、その状況対応能力で生きる力を私たちにもたらしてくれます。

共麹法は「自分を生きる力」を育む発酵ライフの扉

共麹法は、単なる調理技術ではありません。
菌と命のバトンを繋ぐように対話することで、あなたの暮らしに深い安心感と豊かさをもたらします。

追求! 市販品を超える生きた酵素を最大限に摂取。
経済的! 残りご飯を活かし、自然の循環に参加。
精神的! 菌との対話から、自然との調和に基づく「生きる力」が身につく。
簡単! 火も温度計も不要で、手軽に麹作りから始められる。

日本の国菌である麹の恵みを、ぜひご家庭でお手軽に継いでみてください。
あなたの発酵錬菌術ライフの扉は、今日の残りご飯から開かれます!

最後までお読みいただきありがとうございました。

★おまけ・・・
天然麹の採取にも取り組んでいます!
ブログ記事はこちら:https://ameblo.jp/ichigo-ichie-puti/entry-12924440719.html

<執筆・監修>
小釣はるよ – E&Wラボ 酵素と野草研究所 代表
松・雑草発酵錬菌術師-どこにでもある「雑草」たちを、私たちの生命を輝かせる「宝物」に変える”錬金術”と”錬菌術”をお伝えしています。(プロフィールはこちらから

★関連サイト
https://lit.link/haruyoeandwlabo

★著書
・野草を宝物に(ヒカルランド /2019年)
・野草マイスターのゆる魔女レシピ(ヒカルランド /2020年)
・[新装改訂版]野草を宝物に(ヒカルランド /2023年)

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